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   『大人の敗北』

         投稿者 : 土門


「ねー」
遊園地でベンチに座っていると、小学生くらいの男の子が駆け寄ってきた。
「勝負しよ」
そう言って私の膝を蹴ってくる――なんと失礼なガキなのだろう、なんて思いながら、大人の私は丁寧に対応した。
「ごめんねーぼうや。お姉さん、忙しいんだ」
「えーおばさん、暇そう」
少年は子どもらしい無邪気な声で私に話し続けたけど……。
「……おばさん? 」
なんだこのガキ。まだ二十三なんですけど?
「私は、『おばさん』じゃなくてね、『おねえさん』だよ、ぼうや?」
所詮ガキが……と言いたくなる衝動を抑えて、私は笑顔を取り繕った。
「ふーん。僕そういうのよくわかんない」
ガキは「わかんない」って言いながら私の膝を殴ってきた。君の態度の方がよくわからないよ?
「さ、お母さんの元に帰りなさい」
私は怒りを極限まで押さえ込みながらぼうやに向かって「バイバイ」と手を振った。ところがこのガキはとにかくガキだった。
「お母さん……?僕そういうのよくわかんない」
……君、何言ってんの?といいたくなる気持ちを抑えて……
「いいからさっさとガ……」
やばっ、と急いで口を押さえる。危うくガキとか口にしてしまうところだった。
「お母さん、ママ。ママを探しておいで」
急いで私はよそゆきの笑顔を仕立て直してガキの頭を撫でた。
「いや、そうじゃなくて……」
と、ガキはまだ何か言い続けた。が、生憎もううんざりだ。
「じゃあね」
無理矢理言話を切り上げて私は立ち上がり、急いで座っていたベンチを後にした。

「うるさいガキだったな……。失恋の傷心癒しの邪魔にしかならない……あー沖縄行きたい」
三日前に彼に振られた私は傷心旅行を計画。沖縄に行こうかな、なんて考えていたのだが、その彼に貢いでしまったせいでお金が足りるわけもなく。結局、こうして家から十分でつく地元遊園地に来るほかなかった。それにしても家にいると気が狂いそうでここに来たが、その結果、むかつくガキに出会ってしまうなんて。結局気が狂いそうだ。
「はぁ…」
そりゃため息もつくわ。
「なんでため息をついてるの?」
「……ッッ!」
なかなかびっくりした。え、てかまだいたのか、こいつ。どっか行ってよさっさと……私の休みの邪魔をするなよ……。
「ぼうや、さっさと帰りなさい。ママが待ってるでしょ?」
私は仕方なくもう一度、――これが最後だと信じて――ガキに大人の顔で声をかけた。わざわざしゃがんで、目線を合わせてあげて。
「……なんかおばさんうるさい。」
お前は本当に期待を裏切らないね。まったく期待を裏切らずに私のストレスを貯めていくね。そろそろ爆発しますけど? 大人が怒ると怖いよ?
「おばさん、ちょっと黙った方がいいと思う」
そっくりそのまま返し……いや、そのままじゃ足りないな。なんか流行遅れてるみたいで嫌だけど、倍返しにしたい気持ち。
「だいたいさ、こんな平日の昼間から遊園地いるなんてさ、おばさん無職なの?」
はぁ? 遂には人を無職扱いですか。私だってね、彼は失ったけど職は失ってないんだよ。……ん? てか、それいったらなんでこのガキもいるんだ?思いっきり平日なのに。
「なんでガキ…じゃなかった、ぼうやは平日なのにここにいるの?」
思いっきりガキって言っちゃったけどもういいや。君も私のこと、『おばさん』って言ったからね? 20代前半に対して「お・ば・さ・ん」って言ったからね?
「小学生は夏休みだから、ふふん」
最後のいる? なんでそんな君は偉そうなの? なんで人のこと鼻で笑ってんの?
「おばさんは有給なの? それとも失業中なの?」
なんでこんなどうしようもないガキのくせに大人の言葉知ってるのよ、行動が一から十までむかつくなぁこのガキ。
「『おねえさん』はね、今疲れてて、会社におやすみをもらってるんだよ、わかった?」
私は、『おねえさん』のところをゆっくりと丁寧に、強調するように話しかけた。
「だーかーらー、違うって、おばさん」
やっぱり人の話聞いてないな、このガキ。違うのは君だよ、おばさんじゃなくておねえさんだって。……もういいけどさ。
「何が違うの? おばさんに説明してみな?」
「あ、自分のことを『おばさん』って認めたー! 」
そういうところには敏感なんだな、こいつ。人の話を聞いていないようで、本当は無視していただけだな。
「うん、いいから。もう『おばさん』でいいから。で、何が違うの?」
「ねー!そんなことよりさ、もう認めたならさ、『ばばあ』って呼んでいい?」
勢いにのってるねぇ、君。
「いいわけな……」
「ねぇ、いい? いいよね? ねぇ?」
遂に人の話を遮ってきたよ、このガキ。
「……もう好きにしな。……てか、ママは心配しないの?」
私はもう本当に面倒くさくなってきて、とうとうガキに対してのプライドは捨ててしまった。
「……」
ガキは黙ってジェットコースターの方を向いた。なんだ? どうもこのガキはお母さんの話を出されると嫌がるみたいだぞ。迷子か?
「お母さんはどうしたの? ねぇ、どうしたの?」
プライドを捨てたからか、大人気もなく、私はガキにしつこく聞きまくる。
「あれぇ、ぼうや迷子になっちゃったの? お母さんに会えないのかなぁ?」
「……」
ガキは相変わらず黙っている。もう一発言ってやろう。
「ママとはぐれちゃったのかなぁ?」
「ば……は……」
「ん?」
なんだかすごく小さい声でガキが何か言ったが聞き取れなかった。
「ばば……すご……はず……」
「なんて言ってるの?はっきり喋りなよ」
私は更に語勢を強くしてガキに声をかけた。
「……ばばあの今の姿、すごくはずかしいよ……。その、小学生相手にみっともない……」
「……」
今度は私が黙ってしまった。いや、普通黙ると思う。なんというか、今になって大人の尊厳が戻ってきた感じ。ああ、お帰りなさい、プライド……。……どうしよう、めっちゃ恥ずかしい。しかも、ちらっと見ると周りの家族連れとかが、私のことを、眉をひそめて見ている。しかも、ひそひそ話をして。ああ、恥ずかしい。
「あと、僕のお母さんはちゃんといるよ。今はお父さんと二人でジェットコースターに乗ってるだけだから。三時半にお化け屋敷の入り口で待ち合わせをしてあるから。ばばあさ、勘違いしちゃったね。恥ずかしーね」
ガキはそう言い終えるとその場で笑い転げだした。
「……」

 私は本当に何もいえなかった。なんと狡猾なガキなのか……そして私はなんとみっともない大人なのか…。明らかなる、大人の敗北だ。
 その日の夜は、なんとなくガキを思い出してしまって悔しい気持ちになった。ああ、すごく悔しかった。けれども、ガキには少しだけ……うん、ほんの少しだけ感謝している。ガキのお陰で、彼に振られたあの辛さは、私の中から消え去ってくれたのだった。


<作品のテーマ>

お久しぶりです、土門です。
月日が経つのは早いもので、投稿しなくなってもう4ヶ月以上経っていたんですね。
でも、その4ヶ月前もそのとき書いたものではないので、実質半年以上の創作休止しておりました。それから戻ってきて……なので、筆はまぁ当然劣っているでしょう。
というわけで、再び磨いていきたいので、アドバイスとそれから純粋な感想をお待ちしております。
最後に一言、これからまたどうぞよろしくお願いします。
   投稿者  : k_m
拝読しました。
とても腹が立ちました。
腹が立った、というのは心が揺さぶられたことになるので良い小説といえるのではないでしょうか。
読みやすくて、気になる点もなかったです。ですので、アドバイスは書けません…申し訳ない。

自分は最近から、こちらに投稿と感想を書くようになった者です。
こちらこそよろしくお願いします。
   投稿日 : 2017/01/07 00:24
   投稿者  : 82%
拝読しました。
感情移入しそうなくらい面白かったんです。面白かったんですけど…。
今までの土門さんの作品に比べるとインパクトが薄かった気がします。
キャラは個性豊かで漫画のようだったんですけど、ストーリーの印象が弱めだったのかなー。
細かい描写が加わったさらに面白い作品が見れることを楽しみにしています。
これからも、よろしくお願いします。
   投稿日 : 2017/01/07 18:00
   投稿者  : 弥生 灯火
久しぶりの執筆作品なんですね。おつかれさまです&おかえりなさい。
相変わらずの、いい加減に残す感想ですが(ぉぃ) 残させて貰いますね。

といっても今作に対しての指摘はオチぐらいしかないかなあ。
子供のせいで振られた気分が消え去ったとありますけど、消えてないですよね?
子供とのやりとりで、いまこの瞬間の気持ちが上書きされただけのような。
鬱屈とした原因が恋愛なので、やはり消え去るオチとしては同じ恋愛か、あるいは別ベクトルのものでも強いインパクトを与えるオチの方がよいかなあと思いました。

それと再び創作の腕を磨きたいとのことなので、過去の土門作品を幾つも読ませて頂いた私からのアドバイスもどきを。

今作にも言えることなんですけど、すでに土門さんは会話文での軽妙なやりとりやテンポの良さ、スムーズさを持たれているので、
磨く方向性としては大きく分けて二つかと思います。

一つは、すでにある上記の部分を更に磨くこと。
例えば一つの場面に登場する人物を多くされて(最低でも三人以上)の会話文による物語の進行。
一人増えるだけでも書き分けるの大変ですからね。五人ぐらいだともう大変。十人なら土門さんを神と呼びます(笑)

そしてもう一つは、情景描写や比喩を用いての文章、地の文のレベルアップ。
土門作品の命綱である軽妙さを損なう危険もありますけど、これらを磨かれた上で軽妙さを出せたなら、
より高いステージに行けるんじゃないかなあと感じます。
さあ、早く高みに昇って、私を引っ張り上げて下さいまし(祈)
   投稿日 : 2017/01/08 13:01
   投稿者  : 
拝読しました。
読みながら、「なんだこのクソガキ!」と声に出しそうなくらい感情移入してしまいました(笑)お母さんのことを訊くと黙る、という反応からまさかのばばあ恥ずかしいよ発言とは(笑)散々振り回される主人公の姿が目に浮かびます。ストーリーのテンポを崩さず最後まで書ききれており、参考になりました。ありがとうございました。
   投稿日 : 2017/01/08 16:27
   投稿者  : 土門
> k_m さん
 初めまして、よろしくお願いします。
 とても腹が立ちました、との素直なお言葉ありがとうございます笑
 ただ、自分自身は書きながら思いのほかとても楽しかったんです。
 心が揺さぶられた、というのは確かにありがたい一言です。
 前からキャラクターと台詞作りが好きだったこともあり、そこが活かせたのかなと自己分析はしております。
 最後になりますが、ご感想を下さり、ありがとうございました。よろしくお願いします。

> 82% さん
 漫画のようですか。なんでしょう、自分的には漫画だと「動き」が足りなくなるかな、と思っています。
 そして、それが「インパクトの薄さ」で、「ストーリーの印象の弱さ」なのかもしれないですね。
 ほとんど二人の会話と感情と周りの様子で構成されているので、物語自体が「0」に近かったのでしょうか。
 感情をメインにするとストーリー性に欠ける、ということが分かったので、また一つ勉強になりました。
 最後になりますが、ご感想ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
   投稿日 : 2017/01/08 22:25
   投稿者  : 土門
> 弥生灯火 さん
 ありがとうございます、ただいまです。

 まず、本作の指摘について。オチですか。なんか、見事に見抜かれた感じがして怖いです。
 執筆していたときは、負けた直後で完成させるか、現在の形にするか、「それでもやはりむかつくガキだ」まで書くか、3パターンで悩んでいました。
 ただ、なんでしょう。なんか、良い話を書きたかったというか、とりあえず感謝させたかった結果、この形に。
 でもまあ、確かに中途半端な締め方になってしまったという感じは否めませんね。

 そして、私の執筆磨きについて。相変わらず的を得た話で、ためになります。ただちょっと恐怖を感じますけど。
 会話の軽快さ、これは確かに私が一年間で成長できたところかもしれないです。どのジャンルの作品でもキャラに重きを置いていたので、それがこの部分に影響していたのかなぁと。ただ、3人Verというのは私の中に案がなかった。3人なら挑戦できそうですけど、まあ10人は無理でしょうよ。10人となると、絵がある漫画でも書き分けが難しいのですから、本当にそれができる方がいたら、私も一緒にその方のことを神と呼びます。笑
 それから描写力。こちらは私が一年間逃げ続けてきたところですね。そのみっともなさに気付いたのが先日で、本年の目標には描写力UPを勝手に掲げています。さてモチベーションが続くか……。小説の一番大切な地の文であり、且つ書くのが難しい部分で、奥も深いですから。とりあえず頑張ります。

 最後になりますが、「いい加減」と言いつつ、とても丁寧に分析して感想を書いてくださった弥生さんに感謝しております。そして、引き上げるのには時間がかかりますから、お先に登ってくださいよ。私はゆっくり参ります笑


> 零 さん
 はじめまして。改めまして土門です(自己紹介がくどくてすいません)
 テンポが良いとの言葉、ありがとうございます。意外とテンポがガタガタになることは日常茶飯事だったので、それもまた成長かなと。
 感情移入できたのも良かったです。きっと、誰しもが嫌がるようなキャラクターなのでしょうね、少年が。
 最初、「少年の母親は死んでいて、主人公は地雷を踏んでしまって、少年は泣いてしまって、周りから非難されて……」って書こうとして、重いなと思い書き換えた次第です。嬉しいご感想の数々を、ありがとうございました。
 
   投稿日 : 2017/01/08 22:44
   投稿者  : 涼格朱銀
 たぶんこの話はもともと、大人をからかう子供の話が書きたかっただけで、主人公が傷心旅行中とか、舞台が夏休み中の平日の遊園地だといった設定は、書いている途中に後付けで作られたものなんじゃないかなと思えます。
 なぜかというと、そうした設定が作品の中で全く機能していないからです。主人公の言動には傷心している様子がありませんし、舞台が遊園地らしいことも書かれていませんし、夏らしさもありません。

 設定を後付けしたかどうか自体はどちらでもいいのですけど、いずれにしろ、設定を作ったなら、それに合わせて全体を調整しなければなりませんし、それをしない、できないのであれば、余計な設定は作らない方がいいです。
 つまり、この作品の目指すべき形は大きく分けて二通りで、ひとつは(おそらく)当初の目標通り、大人をからかう子供のやりとりのみに集中できる形にすること。この場合は、主人公は昼休み中に公園で弁当を広げているなどの、もっと日常的な設定にして、余計な問題が起きないようにします。
 もうひとつは、この設定で書くことです。その場合、主人公は傷心旅行中で、舞台は地元の夏休みの遊園地ですから、これはどちらも非日常的な設定なのですね。主人公の事情や心情も普段と異なりますし(日常的に失恋しては旅行しているなら別ですが)、遊園地はそもそも非日常体験を提供する施設です。この場合は、ただ子供とのやりとりを書けばいいのではなくて、主人公の事情や心理、そして舞台についても考慮した上で書いていく必要があります。

 具体的にどう詰めていくかというと、実際に傷心旅行で地元の遊園地に行くとどういうことになるのかを考えていきます。実体験があるなら楽ですけど、ないなら調べるなり想像するなりします。
 そもそも地元の遊園地というのは、傷心旅行としては最悪な場所といえます。遊園地は普通、一人で行くところではないですから、そんなところで一人ぼっちというのは余計に惨めな気分になりそうですし、地元ということは、その姿をいつ知り合いに見られるかもわからないわけです。全然気分転換になりそうにない。あえて地元の遊園地に行くなら、友達と行った方がまだマシなはず。
 いくら沖縄に行く資金が無いからといって、そんなところを傷心旅行先に選ぶ主人公は間抜けですし、ベンチに座っているときには、おそらく後悔している可能性が高いと思われます。主人公が平気で一人焼き肉とかできる性格なら、後悔していないどころか楽しんでいる可能性もありますけど、それならそれで、それらしい言動にする必要がありますね。

 さて。傷を癒やすどころか、むしろ抉りに来たような状況になっている主人公の元に子供がやってくるわけですけど、この時主人公はどう感じるのでしょうか? 普通なら単にうざい子供に過ぎないでしょうけど、この時は、彼氏に振られた上に遊園地で一人ぼっちだったわけですよね。おそらく、自分を構ってくれる人がいたことを嬉しく思う気持ちと、その唯一の人がよりにもよってクソガキだったということに対する気持ち、あとは、惨めな姿を人に見られたことに動揺する気持ちなどがあると思われますが、そのバランスについては主人公の性格によるでしょう。いずれにせよ。平常通りの精神状態ではないことを考慮した上で、主人公の言動を考える必要があるでしょう。

 一方で子供が、あえて主人公に目を付けた理由も見えてくるでしょう。遊園地で一人ぼっちの人というのは意外と目立ちます。また、もしかすると主人公は、無意識に構ってオーラを出していたのかもしれません。
 というわけで、子供が精神攻撃を繰り出すなら「なぜ平日の昼間にいるの」ではなく「なぜ一人で遊園地にいるの」であるべきでしょう。職のある主人公に「平日の昼間にいるの」はちっともダメージになりませんけど、失恋直後の主人公に「一人で遊園地にいるの」は間違いなく刺さるでしょう。主人公は一番痛いところを突かれたからこそ、その反撃として子供が一人ぼっちだというところに目を付けて、迷子なんじゃないのかと言い返すわけです。この方が断然大人げないですし、後々主人公に返ってくる精神的ダメージも大きくなるはずです。

 こうして検討してみると、作った設定を活かして作品を調整しても大きな変更を加える必要はなさそうですし、より面白いものになりそうですから、活かす方向で考えてもいいんじゃないかなと思います。

 ともかく、設定を作った場合、一度その設定に自分や登場人物を放り込んでみて、それで作品にどう調整を加える必要があるのかを確かめた方がいいでしょう。作るだけ作って何もしないと、その設定が作品を雑に見せたり、不自然に見せる原因になります。
 小説における細部は重要で、こういう手間が作品の質を大きく左右します。読者が注目するところではないですから、細部が雑でも指摘する読者は少ないですし、完璧に仕上げたところで誰も評価してくれない部分ではありますけど、それでいて、全体の印象に大きな影響を与えます。手間のわりには効果が大きいので、やらないと損です。

 それと関連してもうひとつ言うと、当初の予定では子供は母親と死別している設定になっていて、それをやめたそうですけど、その設定の名残が台詞などに残っていて、やはり不自然に見える原因になっているのですよね。いかにも母親がいないような伏線を漂わせているのに、途中からなぜか迷子ということになっている。
 なので、迷子(を装う)ということにするなら、「お母さん……?僕そういうのよくわかんない」「いや、そうじゃなくて……」みたいな、元々伏線として使われていた台詞は削ったほうがいいでしょう。子供が遊園地で野放しになっていること自体が迷子という伏線になるので、それ以上の伏線を張る必要はないです。くどくなります。
 実のところ、仮に当初の設定のままだとしても、この伏線はあからさまでくどいと思います。もっと長い作品ならともかく、この短さであまりにも伏線となる台詞が多すぎて、かえって不自然なんですよね。なので、もし死別という設定のままで書くにしても、最初は「子供が遊園地で野放し」→「迷子っぽい」という伏線で引っ張って、主人公が子供に「なんで遊園地で一人なの」と言われたことに「あんただって一人じゃないの」と言い返して、実は迷子じゃなくて死別だったことが発覚する、というくらいの展開でいいはずです。
 ただ、「勝負しよ」という最初の台詞を活かすなら、いずれにしても本当に母親と死別していたり、迷子だったりというよりは、主人公をからかうためにそれを装う、という形の方がいいでしょう。であれば、多少あからさまに「ボク実は母親がいないっぽいんです(迷子なんです)」的な雰囲気を漂わせるのはありです。その場合は、その話題を避けたがっているわりに、その話題に持って行きたがっているようでもある感じを出して、でも主人公はそれに気付いていない、という様子を描く必要があります。
   投稿日 : 2017/01/09 05:33
   投稿者  : 土門
>涼格朱銀さん
 
 返信が遅くなり、申し訳ありません。

 最初の一文を読ませていただいて、ドキッとしてしまいました。心当たりしかありません。書き始めたときは、からかわれて、「参った」と悔しがる大人の姿と、憎たらしい子どもの姿を描きたかっただけでした。遊園地という設定も、主人公の性別ですらも、正直後付要素でしかなかったことに今になって気付かされました。そして、後付の設定が活きてきていないことにも、朱銀さんの感想で気付かされました。

 後付設定、というか、設定にこだわった短編がこれまで少なかったことがあり、自分の中途半端さにも今反省しております。余計な設定をつくり、そして調整しない。ほうったらかし。そういうところは、執筆当初から直せてない部分で、大いに反省します。そして、この作品に関する詳しいアドバイス、それから分析をありがとうございます。

 本作の目指す形ですが、確かに私も現在の設定を利用して書くほうが良いかな、と思います。はっきりした理由とは到底いえませんが、なんとなく遊園地の設定が自分の中でしっくり来たところが大きいです。
 けれども、主人公の事情、心理、舞台背景などという部分での細かい部分への配慮が欠如していたことが、作品のクオリティダウンにつながっていたことに気付き、自らの甘さに失望するのと同時に、作品に向上の余地があることにドキドキもしました。

 具体的な詰め方について。友達と行った方がマシ、ごもっともです。その上で、友達と行かせてしまった方が自然にできるのかもしれないと思いました。それならタイミングの一人ぼっちはおかしくないし、行くこと自体の不自然さも大幅にぬぐえるのかなと思います。そして、何より帰り道でも何でも、友達に愚痴を言うこともできて、気にかかっていたエンディングも修正することができそうです。

 主人公の言動の難しさですが、そう考えていくと素直に振られた設定だけは消した方がいいかもしれませんね。心情があまりに複雑になることに加えて、そうなっていくと「吹っ切れた」「吹っ切れていない」の境界線も描かなくてはいけなくなり、会話の軽快さがどんどんうすれていってしまい、逆に重苦しい文章になってしまいそうです。重くなると、きっと子どものキャラクタが余計なものでしかないでしょうし、そうなっていくとこの物語は中枢部分を失ってしまうような気さえします。

 あくまでも、子どもと大人の下らない絡みを演出するために、華美な装飾をしてしまうと余計になることが、こう分析してみて私自身でも気付くことができました。それでも、遊園地という背景はあったほうが展開しやすそうなので、これを軸としてストーリープロットを建て直し、必要な設定と不要な設定を明分していく必要がありそうです。

 それから、伏線のようになっている台詞たちですが、消し残しというようなものです。死別させないのであれば、ここの部分が会話のテンポ、引いては話全体のテンポを遮ってしまって、欠陥部分となっていそうです。まだまだ校閲不足という点が否めないですね。
 伏線の立て方もよくわからず、思うままにストーリー・会話を書き連ねていった結果、くどさにもつながってしまったようです。あからさますぎる雰囲気は、「もうわかってる」というキモチを読者に与えかねないと思います。そういう、読者目線の捉え方が自分の執筆活動には不足していたのかもしれません。

 こうして、自分の作品――創作活動のあり方自体にもよく目をむけ、見つめなおすことができました。その大きな機会を与えてくださり、そして大きなアドバイスと参考になります分析の数々をお書き頂き、本当にありがたい気持ちでいっぱいです。
 本年も、ますます精進していきたいと思っております。これからも、どうぞよろしくお願いします。
   投稿日 : 2017/01/12 09:42
   投稿者  : てこてこ
読ませて頂きました。率直な感想を述べさせて頂きますと、オチが弱いのと、話がフラフラしているなぁ、という印象ですね。
話の流れは良いと思うのですが、設定が活かしきれていなくて全体的にふわっとしている様に思えます。話を右に進めようとして途中でやっぱり左に、でも、やっぱり右に〜という迷いの様なものが出てしまっていて、読んでいてどの方向に持って行きたいのだろう、と違和感を感じてしまいました。
例えば、少年の母がいない(亡くなっている)と思わせておいて、結局いるという設定も、それ自体は良いと思うのですが、それでしたら途中で主人公が早とちり(母との思い出の遊園地にひとりで来たんだ的な、普通に考えるとどうやって遊園地に入ったんだという話ですが、主人公が残念な感じなので考えとしては有りだと思います)→何だかんだで少年と遊園地を満喫→芽生える友情的な何か→両親迎えに来る→いるんかよ!→でも気分転換になったかな。という様なコミカルな流れにするなど、もう一工夫欲しいです。その方が傷心中なのに何故かひとりで遊園地に来ている残念な主人公の残念さも、もっと出てくると思います。
勝手に主人公を残念な人にしてしまっていますが(ごめんなさい;)この話の場合は思い切った流れの方がメリハリもあってもっと面白くなるんじゃないかなと思いました。

私も長い間執筆していないので人の事偉そうに言えないのですが(苦笑)何かの参考になれば幸いです。長々と失礼しました。
   投稿日 : 2017/03/14 21:30
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(管理:普津沢)






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