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   『白のワンダラー』

         投稿者 : 横佳 瑛太郎


視界がほとんど奪われる程に雪の吹く中を、男は一人歩いていた。路面には足首まで埋もれる程の高さまで雪が積もり、歩みを進める度に、フワリとした柔らかい感触が男の足を包んだ。道路脇にまばらに建つ民家も雪の中に閉ざされ、外には男以外、人影は見当たらなかった。

風が一筋吹いて、男の衣服を揺らした。厚手のコートに身を包み、ニット帽とマフラーで顔を覆い隠していた男であったが、今季最低気温を記録する大寒波の中にあって、衣服の隙間から入り込んでくる冷風には、体を縮めて耐える他なかった。向かい風であるがゆえに、目や口の中に容赦なく雪が入り込んでくる。男は一旦立ち止まると、後ろを振り返って風をやり過ごそうとした。
男が刻んできた足跡を視認することが難しいほどに吹雪は強くなってきている。一向に止む気配のない風に諦めをつけた男は、前を向いて再び歩き出した。

寒さによって、手と足の指先の感覚がなくなってきた頃。男は小さな公園に行き当たった。ぶらんこと滑り台、それにジャングルジムの三つしか遊具は設置されていない。入り口のすぐ横に置かれた自動販売機の、吹雪の中にひっそりとたたずむ姿は、その無機質さをより際立たせていた。

普通だったら、通りかかっても目もくれないような、小さく古びた公園。吹雪の中を歩いていては尚更。意識していても見付けられるようなものではないのに、男はその公園を通り過ぎることはしなかった。

男の目的地がここだったわけではない。この公園の先にある別の場所が男の目的地である。それでも男をこの場に釘付けにさせた理由は、公園内に設けられた木製のベンチに座っていた。

まだ小学校低学年ぐらいの子だろうか。少年の格好は、この吹雪の中ではおよそありえないものであった。薄手の半袖に、短パンのみを着用し、その他は一切、靴でさえも身に付けていなかった。どこかに季節感を置き忘れてきたのだろうか。しかし、少年は寒さに身を震わせていた。男は少年へ駆け寄った。十センチ近い積雪に足をとられるせいで、たった五メートルちょっとの距離ですら、もどかしく感じられた。

男は少年の正面に立つと、コートを脱いで少年の肩から羽織らせた。少年はキョトンとした顔で男を見詰めた。男はさらに手袋を外し、それで少年の足をくるんだ。多少不格好ではあるが、この際気にすることではない。少年はコートの襟をつかむと、ベンチの上で縮こまった。

パーカー一着だけになった男は、上腕をさすりながら公園入り口の自動販売機へ向かった。ポケットを探り、財布がコートの中にあることを思い出す。男は一度少年のところへ戻ると、コートのポケットを探って財布を盗り出した。少年は、男のその一連の動作を不思議そうに眺めた。男はそんな少年の頭を撫でると、

「待っていな。何か、暖かい飲み物買ってきてやるから」

と言って、再び自動販売機へと向かった。

最初に缶コーヒーを買おうと小銭を入れた男だったが、冷気でボタンが凍結しているのか、購入できない。男が苛立ったように拳でボタンを叩くと、やっと缶コーヒーが落ちてきた。それを拾い上げ、温もりを堪能する。多少手が暖まったところで、他におしることコーンポタージュの二種類の缶を買って、男は少年の座るベンチへと戻った。

「どれがいい?」

男は少年の前で三つの缶を並べて見せた。少年はコートの間から恐る恐る手を伸ばすと、コーンポタージュの缶を指さした。男はそれを少年に渡すと、少年の左隣に腰かけた。コーヒーの缶を開け、ゆっくりと一口目を飲む。熱いブラックコーヒーが喉を通って胃へ流れ込んだ。男が一息はいて横を見てみると、少年が缶を開けられずに苦戦していた。元々手が小さく非力である上に、この吹雪で手が悴んでいて開けられないのだ。男はコーヒーの入った缶とおしるこをベンチに置くと、少年の持つ缶を取り開けた。少年が不服そうに男を見詰める。自分で開けたかったようだ。男は謝る代わりに少年の頭の上にポンと手を置くと、開けた缶を渡した。不機嫌な表情でそれを受け取った少年だったが、缶に口をつけて一口中身を飲むと、表情を和らげた。男は満足げにそれを眺めた。

「おじさん」

男がしばらくコーヒーを満喫していると、不意に少年が口を開いた。お兄さんだろ、と言い直させるような年でもない男は、何だい、と反応した。

「自殺するの、止めた方がいいよ」

男は目を見開いて体を少年に向けた。

「どうして知っている?」

男の問いに、だってと少年が答えた。

「こんな吹雪の中でこの公園前を通ったの、おじさんが今日一人目だよ。普通なら、絶対に外に出ようともしない天気なのに。それにおじさん、この公園の先に行こうとしてたじゃん。この先なんて、自殺スポットしかないのに」

馬鹿でも分かるよ。そう言うと少年は、コーンポタージュを一口すすった。男は溜め息を一つ吐くと、ベンチに深く座り直した。背もたれに付着していた雪が、パーカーの中にじんわりと染み込んでくる。男はパーカーのフードを被ると、缶コーヒーをいっそう強く握った。

「そうさ。俺は自殺願望者だ」

男がポツリと呟くと、その顔を少年が覗き込んだ。

「どうして?」

「色々あったのさ。人生が嫌になるようなことが、色々とな。そんなことを言えば坊主、お前はどうなんだ?こんな所に居て、あんな格好で何をしていた」

男も少年を見る。少年は目をぱちくりさせると

「僕にも色々あったのさ」

と言って、姿勢を正した。男も視線を前に戻す。二人はしばらく無言でいた。

次に口を開いたのは少年の方だった。

「勿体ないよ。おじさん優しいのに。見ず知らずの僕に気を遣ってくれて、飲み物も奢ってくれて、事情を聞こうともしてくれてる。こんな人が、社会に必要とされないわけないよ」

「坊主のわりには、難しいこと言うんだな」

男はコーヒーを一口飲んでから答えた。

「でもな、違うのさ。いつもの俺は、優しくないんだよ。人に優しくすることなんてないんだよ。君に優しくしたのは、人生の最期にポイントを稼いで、地獄行きを少しでも和らげようと思っただけさ。本当は、そういう卑しい奴なんだよ」

少年はベンチの上で体育座りになった。それに、と男は続ける。

「そもそも、誰だってお前を見かけたら同じようなことをしたさ。俺だけが特別優しいわけでもない」

「本当にそうかなあ」

缶の飲み口に視線を落としながら少年は呟いた。

「それだけの動機で、本当に人に優しくできるのかな。そういうのって、勇気が必要だと思うんだよね。唐突な場面で人に優しくできるのって、すごいことだと思うんだよ。それに、僕は見ての通りの格好だからさ。普通だったら、色々裏を勘ぐって、接しないようにすると思うんだよね」

少年はコートを広げて見せた。

「そうだな」

男は遠くを見詰めながら答えた。缶コーヒーの中に、雪が吹き込む。

「最期だからと思って、ちょっぴり勇気を出したのさ。いつもは怖じけずいちゃって出せない勇気をさ」

少年は缶を逆さまにし、地面に向けて振った。微量の水滴が飛ぶ。飲み干したようだ。

「じゃあ今度からは、人に優しくできるようになるね」

少年は缶をベンチの上に置き、男を見た。

「勇気を出すのはさ、最初が一番大変なんだ。だけど、最初さえ乗り越えれば、その後は格段に楽になるんだよ。おじさんは今、勇気を振り絞って僕に優しくしてくれた。次からは、もっと簡単に勇気を出せるよ」

「つまり」

男もベンチの上に缶を置いた。コーヒーはまだ少し残っているが、外気に触れて冷めてしまっている。

「自殺なんかしないで、これからは人に優しくしろってことか?」

そういうこと、と少年は首肯いた。男は再び溜め息を吐いた。冷めたコーヒーを一気に飲み干す。

これいい?と少年が男の前におしるこを掲げた。

「冷めてると思うぞ」

男は缶を受け取ると、タブを開けて少年に渡した。今度は少年は、素直にそれを受け取った。一口飲んでから、ぬるいや、とごちる少年。

「おじさんさ、子供はいないの?」

「生憎な。結婚してないどころか、彼女でさえできたことはない」

「そう。悪いこと聞いちゃったね」

「気にするな。今になっちゃ、そんなに執着するようなものでもない。案外、若気の至りだったりするのさ、恋ってのは」

「僕は今、好きな子が居るよ」

少年は空を見上げながら言った。男は、そんな少年を一瞥した。

「大事にしなよ、その気持ち。若いうちが肝心だ」

「その子ね、すごい明るい子なんだ」

少年は足をベンチからぶら下げて話し始めた。吹雪は止む兆候を見せるどころか、さらに激しさを増している。男と少年は寒さに身を寄せあった。

「男勝りで、毎日泥んこになってみんなと遊んでる。いつもは格好いいんだけど、たまに見せる女の子らしいところとかがまた、可愛いんだよ」

「そうか。―――俺も小学生の時、そんな子を好きになったな」

「おじさんにはあげないからね」

「分かってるよ」

男は苦笑した。少年のその言葉が、余りに本気だったのだ。

「第一、そんなことをしたら犯罪者呼ばわりされる」

「今は色々厳しいからね。生きにくい世の中だよね」

「そうだ。だから自殺したかったんだ」

「あげるよ」

少年は男におしるこを差し出した。男はそれを受け取り、少し躊躇った後に口を付けた。

「やっぱり冷めてるじゃないか」

男はおしるこを一気に飲み干した。襟の間から服の中へと雪が入り込む。男は缶を下ろした後、思わず身震いした。

「でも、僕が今恋をしていられるのは、僕が生きてるからだ」

少年はベンチの上に積もった雪を、両手ですくった。

「雪が冷たいのも、僕が生きてるからだ」

その雪を地面に落とし、手に付いた雪も払う。

「生きてなきゃ、楽しさとか幸せは感じられないよ」

「そうだな。生きてるから楽しいし、生きてるから苦しい。苦しいことが多いから、僕は死にたいのさ」

男も、少年と同じように両手でベンチの上の雪をすくった。

「でも、人生はプラマイゼロって言うでしょ?だったら、そのうち楽しいことがあるよ」

「違うな。人生にプラスとかマイナスなんてない。そんな風に考えるのはいけないよ」

「でもさ」

少年は食い下がる。

「苦しいって感じるのは、楽しいことがあったからじゃないの?“熱い”って感覚がなければ“冷たい”ってのは感じられないと思うんだよ」

「それも違うな。仮に、世の中の温度は全てゼロ℃以下だったとしようか。普通はゼロ℃は冷たいと感じるかもしれない。けれど、ゼロ℃以下しかない世界だったら、ゼロ℃は“熱い”のさ。基準が変わるだけで、“熱い”と“冷たい”は存在するのさ」

「だったらいいじゃない。“苦しい”と“楽しい”も必ず存在することになる」

しまった、と男は笑った。

「一本とられたな」

「もう少し生きてみなよ。どんなに小さくても、“楽しい”は、“幸せ”は、けっこうそこら辺に転がってるものだよ」

「そうだな」

男は立ち上がった。

「世の中の不条理を知ったつもりになって絶望していたけれど、案外何も見えてなかったのかもな、僕は。これからは、もっと別の方向に目を向けてみよう」

「そうしなよ。きっと違う世界が見えるから」

そうだな、と男は頷いた。両手をズボンのポケットに突っ込む。

「有難うな、坊主。お前も頑張れよ、こんな大人にならないように」

「そうする。僕のためにも、おじさんのためにも。―――おじさんも、風邪引かないようにね」

「それはお互い様だ」

笑いながらベンチに振り向いた男だったが、そこに少年は居なかった。丁寧に畳まれたコートと手袋、それに三つの空き缶だけがベンチの上に置かれていた。男は慌てて周囲を見回した。しかし、少年の姿はどこにもない。それどころか、雪の上に残る足跡も、男のものしかなかった。

そうか、と男は微笑むと、ベンチ上のコートと手袋を着て、空き缶を拾った。吹雪はいつの間にか止んでいた。

自動販売機の隣に設置されたごみ箱へ空き缶三つを投げ捨てると、男は歩き出した。晴れたお陰で視界が広がり、来たときよりもハッキリと見えるようになった自分の足跡を辿りながら。


<作品のテーマ>

初投稿です。

日常のような非日常がテーマの、一人の男が自殺を思いとどまるまでの過程を書いたものです。ご評価よろしくお願いします。
   投稿者  : 涼格朱銀
 こうした作品では何気ないものをどれだけ丁寧に描けるかが重要で、特に風景描写と人物描写については、できる限り気を遣う必要があります。
 この作品は、吹雪の中の公園というシチュエーションの助けもあって、ある程度の雰囲気を出すことには成功していますけど、この作品に要求される繊細さが足りていないように感じます。特に人物の言動、つまりは演技については、もっと練り込んだ方がいいように思います。

 まず、会話が作品の中心でありながら人物造詣が薄く、表面的な会話に終始しているのは非常に残念です。そもそも主人公の言動が、自殺しに来た人には全く見えない。また、少年の話も抽象的、一般的な話に終始していて、これで自殺志願者の気持ちを変えられるなら苦労しない、むしろ自殺の決意を固めさせかねない内容なのも気になります。
 なぜ主人公が自殺しに来た人に見えないかというと、常に感情が安定しているからです。本物の自殺志願者だったら、自分の問題について突っつかれたら、過剰な反応を見せるはずです。なにしろその問題が原因で死にたいくらいですからね。それなのに、少年との会話中、全く感情の変化が見られないということは、精神的に健常なのか、感情を喪失しているほど手遅れなのか、もしくは少年との会話が急所を突いていないかでしょう。健常でないとすれば、少年との会話で救われることもないはずで、下手をしたら少年と別れた後に自殺するかもしれません。自殺する終わり方だったら一気にリアリティが出るでしょうし、この作品の質を簡単に引き上げることができますけど、薦めはしないです。それよりは、狙い通りに作品を仕上げる技術を磨いた方が、後々役に立つでしょうから。

 この作品では、主人公がなぜ自殺しようと思ったのかや、少年の正体などについて、具体的なことを書いていませんけど、単に書いていないだけではなく、そもそも具体的な設定を考えていないように見えるんですよね。作者としては詳細に設定を考えていて、その上であえて書いていないというのならいいのですけど、設定を考えていないから表面的なことや抽象的なこと、ステレオタイプなことしか書けないんじゃないか、という風に見えるのです。
 このタイプの作品ではストーリー展開に頼れないので、風景描写や人物描写に関しては、細部まで丁寧に作り込む必要があります。自殺という話題にさして興味がないのであれば、設定を変更して、本当に興味のある話題に持っていけるように構成した方がいいんじゃないかと思います。
 もしくは、自殺しに来たのではなくて、自殺する気があるのか確かめに来たとか、その程度の動機にしておくなど。自殺志願者の心理を描き切れないのであれば、無理にやるよりは少し妥協した方がいいです。

 もうひとつ問題なのは、吹雪の中でコートと手袋を脱いでパーカー一枚でベンチに座るという状況がどういうものなのかを、よく考えて書いていない点です。頭の中では完璧に思える場面でも、そこに登場人物を配して演技させてみると、当初予定していた展開では無理が生じることはよくあります。特に頭の中だけで作れてしまう小説の場合は、そうした点には注意する必要があります。
 死ぬので無理しない程度にしたほうがいいと思いますけど、実際に寒い日にパーカー一枚で公園のベンチに座ってみれば、この作品の状況が作者の想定を超えていることは実感できると思います。
 この作品のシチュエーションが見栄えするのは確かですし、やりたいことはわかるんですけど、主人公の防寒着を脱がせたのはやり過ぎたと思います。そのわりには低体温症の初期症状すら出ていない。
 少年の方は、寒がっている様子を見せているとはいえ、薄着で平気みたいですから問題ないですけど、主人公が取った少年に対する救護方法、という点では問題があるようには見えます。一応、コートを掛けて温かい飲み物を与えてはいますけど、風の当たらないところに避難するという、わりと基本的なことをやっていない。やっていない理由は、作者がこの状況の過酷さを理解していないことと、ビジュアル的な都合だと思いますけど、ビジュアルを重視するならそれに合わせて、吹雪の中でベンチに座っても自然に見えるような状況を作り出した方がいいだろうと思います。

 ひとつ案はあって、主人公はそもそも自殺しに来たのだから、死に方を凍死に変えてもいいやと思って少年に防寒着を与えることにする、という展開です。で、少年は、自殺を止めるんじゃなくて、付き合ってあげると言う。それなら、このシチュエーションを無理なく作り出せますし、今のプロットよりも緊張感が出しやすくなると思います。結末は同じでもいいですけど、主人公を救うのであれば、もっと主人公の精神的問題について、具体的に切り込まないと説得力が出ません。また、低体温症で思考能力が徐々に落ちていくことを計算に入れて、主人公の言動を描く必要もあります。これは単にリアリティのために必要という以上に、作品を幻想的な雰囲気にするのに使えて、それはこの作品にとってメリットだろうと思います。
   投稿日 : 2017/02/20 02:46
   投稿者  : 横佳 瑛太郎
涼格朱銀様

的確な御指摘の数々、ありがとうございます。

日常の中に突如現れた非日常的な空間を描きたかったので、あえて淡々とした描き方をしていたんですが、この場合は間違いだったようですね。以降の参考にさせていただきます。

会話が薄いという御指摘ですが、痛いところを疲れました。読んでわかりますように、実は人物同士の会話の描写が苦手なのです。この作品の場合は、少年に名言になるような、そうでなくとも男の心を動かすような台詞を言わせなくてはならないところなのでしょうが、そういう台詞を言わせようとすると、どうも安っぽくなってしまうんですよね。これは私の実力不足なので、どうにかしなければならないのですが――――

男が自殺しようとしているように見えないというのは、多分男に自殺をする気がないからです。私自身、書いている途中で「ああ、こいつは自殺しないな」と思いました。そこで男の言動などを直すべきなのでしょうが、それはそれで逆にいいんじゃないか?と、半ば投げ槍気味に思ってしまったのは私の不徳の致すところです。

二人の会話している状況にも、本来は気付かなければならなかったのでしょうが、自分の頭の中に展開された吹雪の中の公園のベンチというシチュエーションに酔ってしまっていたようです。幻想的という観点ばかりを追い求めてしまった結果ですね。

また、自分は中学時代、真冬の氷点下の早朝でもワイシャツ一枚だけで登校していた馬鹿だったので、凍傷とか寒さと言った点に逆に緩かったのだと思います。吹雪とは言っても、これぐらいの寒さだろうから何とかなるだろう、と自分の中だけで結論付けてしまっていたかもしれません。

自殺の動機は特には考えていませんでした。これは致命的ですね。設定の段階ではおそらく何らかの理由を考えていたのでしょうけれど、その設定が固まりきらないうちに書き始めてしまったのがおそらく原因です。

最後に、少年の正体についてですが、これはあえて描きませんでした。これは設定の段階で決まっていたことですね。でも、その正体は大体予想がつくだろうとは思っています。その事についても何かご意見をいただけたらと。

よくよく読み返してみれば、まだ人様に読ませるような出来にはなっていないような作品だったと感じます。今後は、もっとよく推敲してから投稿させていただきます。

不遜なようではありますが、これからもよろしくお願い致します。
   投稿日 : 2017/02/21 18:13
   投稿者  : ひつじ使い
読ませていただきました。
最後まで飽きることなく読み進められました。少し思いましたのは「いつ」にあたる時間帯を示唆する文章を入れてみてはいかがでしょうか。今の感じですと、どことなく夜をあてはめても読めるような気がします。きっと日中のできごとだと思うので、一例ですが、吹雪で太陽がどこにあるかもわからない、といったニュアンスなどはどうでしょうか。こういう文章が早い段階で入れてあれば、読者も夜ではないということを確信した上で読み進められると思います。

個人的な感想では、少年は生きた人間ではないように思いました。震えたりはしていますが、一瞬でコートを畳めたり、足跡ものこさずに消えたりできるわけですからね。

お話そのものは好みでした。
これからも頑張ってください。
   投稿日 : 2017/02/21 21:35
   投稿者  : 涼格朱銀
 淡々とした描き方にすること自体は、この作品の雰囲気作りのためには必要ですけど、「淡々とした描き方」というのは「少ない言葉で奥行きを出す」ということです。そして奥行きを出すためには、書かない部分のディティールまで詰めておかないといけません。そうしないと言葉にハリボテ感が出てしまうのです。裏側を覗いたら板きれだろうな、と思われてしまう。
 なのでまずは細かい部分まで書けるだけの設定を作っておいて、そこから何を書き、何を書かないかの選別をするような書き方をした方がいい、ということです。
 セルアニメは平面的な表現ですけど、それを作るためには舞台や人物の立体的な設定を作りますよね。そうしないと、アングルが変わったときに破綻するからです。それと同じようなことです。

 作者が台詞を書くのを苦手としているかどうかは、現状では判断できないです。人物設定がきちんとできていなければ、どう喋らせるのが正解かという基準そのものがないので、うまく書きようがないからです。
 話によると、作者は当初、主人公は死ぬつもりでここに来たことにしていたはずだったのに、書いている途中で死ぬ気がなさそうな人物になってしまったわけですよね? そうなる理由は、ちゃんと設定ができていないからです。主人公がこれまでどんな人生を歩み、その結果としてどういう人格を持ち、何がきっかけて死のうと思ったか、という情報がない。だから、どう演技させていいかわからないのです。どんなに素晴らしい役者でも、役柄について何の情報もなく演技はできません。情報を与えてもきちんと演技できないなら大根役者ということになりますけど、今のところ必要な情報が不足しているのだから当然の結果なのです。

 こうした設定は、最初から作り込んで作品作りに入る書き手もいますけど、書きながら調整する人もいます。私は後者ですけど、とりあえず登場人物を動かしてみて、「そもそもこいつはなんで自殺しようと思っているんだろう」とか、気になった点をチェックしていきます。そうすることで、この人物をうまく動かすにはどういう設定が必要かをチェックするわけですね。あとはそれに合わせて設定を詰めて、設定とプロットとの兼ね合いを調整した後(設定を詰めるとプロットに矛盾が生じる場合があるので、それをチェックして解消する)、それを反映して全体を書き直していきます。
 つまり、私の制作手順だと、この作品の状態はリハという位置付けで、ここで問題になった点を解消して設定とプロットを詰めて本番原稿を書く、という手順を踏んでいます。この辺のやり方は人によって異なるでしょうけど。
 いずれにせよ、書いている途中で問題になったことを放置すると、それはたいがい読者にバレるので、できればなんとかした方がいいです。

 なお、こうして役作りをした結果、やっぱり自殺しそうな人物を作れそうにないとか、主人公の心を揺さぶる少年の台詞が思いつかないとか、そういうことはありえると思います。その場合は前にも書きましたけど、無理をしないで、プロットをいじることを考えた方がいいと思います。たとえば、主人公は自殺しに来たのではないことにしたり、少年は特に自殺を止めようとはしないことにしたり。そうすれば、苦手なことを描く必要がなくなりますよね。
 作者にとって重要なのは、吹雪の中の公園で喋るというシチュエーションであり、自殺を止める話ではないはずです。であれば、無理に自殺を止める話を作る必要はもともとないわけで、そこにはこだわらず、やりやすい形を考えればいいのです。

 寒いときに薄着で大丈夫かどうか、という点についてですが、動いていれば体が熱を作るので、わりと大丈夫です。作者が氷点下に薄着で登校して問題なかったのはそういうことでしょう。
 しかし、ベンチに座ったらほとんど体を動かさないので、この作品で描写されている状況では発熱が足りないはずです。しかも、雪で服が濡れて、かつ風が吹いているなら、あっという間に体温を奪われるはず。……もともと寒いところで生まれ育った人だったら、基礎代謝が高いから問題ないということもあり得るのかもしれないですけど。そこまではわからないですが。
 ただ、主人公がそういう体質であることにするならするでいいんですけど、それなら「衣服の隙間から入り込んでくる冷風には、体を縮めて耐える他なかった」みたいなことは書いたらいけないと思います。むしろ寒くても平気な様子を描くべきでしょう。厚着で歩いているときでさえ冷風が堪えるなら、薄着でベンチで座っていて堪えないわけがない。コーヒーが温めた分、最初は問題なくても、すぐに冷えてくるだろうと思われます。
 ここで重要なのはリアリティよりも、設定を一貫させることの方です。現実はこうだからこうしなければならない、というわけではなくて、どういう設定にするかを決めて、それに全体を合わせることが大事です。特にこの作品では「吹雪の中の公園」というシチュエーションが重要になっていますから、寒さに関する表現については特に気を遣う必要があるので、こうした細かい点でも指摘しているわけですね。

 少年の正体についてですが、読者からするとヒントが少なくて確定はできないです。
 一番あり得るのは「過去の自分(あるいは未来の自分の子供)」でしょう。ただ、これが正解だとすると、もう少しその設定を活かしたプロットにした方がいいように思います。設定を隠そうとするあまり、うまく使えていない。それよりは、バレてもいいから堂々とやった方が、かえって良くなるはずです。
 ヒントが少ないことから、一般的には単に「幽霊」だと思われることが多いと思いますが、その場合、「僕が生きているからだ」というセリフがウソということになります。このセリフが無ければ幽霊ということで何も問題ないのですけど。
 セリフの矛盾を解消するなら「生霊」「妖精」「妄想」など。でも、この辺だとするとそれとわかるヒントが少なすぎますし、その設定の意味が無い内容になっているのが問題ということになります。たとえば、主人公が寒さで死にそうとかいう状況であるなら「妄想」とか「妖精」とかいうのは意味が出てくるのですけどね。

 なお、私がおすすめする少年の正体は、「単なる少年(?)」にする手です。つまり、突然消えたりしないで、じゃあ僕はこれで帰るね、などとちゃんと挨拶をし、ちゃんと足跡を残して、民家のある方へ去って行く。突然消えてしまうオチよりも、こっちの方がかえって幻想的じゃありません?
 吹雪の中で半袖短パン裸足なんて明らかに異常だから、その正体が超常的なものであれば、それはかえって腑に落ちるのですよ。でも、そんな変な子が普通に帰って行ったら、現象としては当たり前のことなのに、むしろ異常に見えるのです。日常の中の非日常を描くなら、ぎりぎり現実的な解釈ができる範囲に留めた方が、かえって効果が高かったりします。
   投稿日 : 2017/02/21 21:59
   投稿者  : 横佳 瑛太郎
返信遅れました。申し訳ありません。

ひつじ使い様

ご感想ありがとうございます。時間帯の描写を入れ忘れていたことには気付いていませんでした。そうですね、日中の出来事として書いてはいるんですが、作中ではその事に一切触れていませんでしたね。迂闊でした。以後、気を付けます。

最後まで楽しんでいただけたのなら幸いです。励みになりました。


涼格朱銀様あ

   投稿日 : 2017/02/23 21:38
   投稿者  : 横佳 瑛太郎
すみません、投稿ミスです。余計かもしれませんが、もう一度最初から書かせていただきます。

ひつじ使い様

ご感想ありがとうございます。時間帯を入れ忘れていたことに気付きませんでした。そうですね、日中の出来事として書いてはいるんですが、作中ではその事に一切触れていませんでしたね。迂闊でした。以後、気を付けます。

最後まで楽しんでいただけたのなら幸いです。励みになりました。


涼格朱銀様

再び沢山のご意見を寄せていただき恐縮です。やはり、設定が全く甘かったみたいですね。実際、思い付きの段階のままで書き出してしまっていました。これでは、一創作者として失格です。短編だからとはいえ、設定は必要不可欠なものですのに。これからはそういうことの無いようにしたいと思います。読者のためにも、作者のためにもなりませんから。

少年の正体のことについてですが、私自身は勿論設定を知っているので、読者のみなさんも分かるだろうと思ってしまっていたんですが、確かに読者側に立ってみれば、これではよく分かりませんね。涼格朱銀様の言う通り、ばれていい、ぐらいの気概で情報を出していった方が良かったのかもしれません。少年が吹雪の中住宅地へ消えていくという案ですが、この作品の雰囲気にとてもマッチしているように思えます。とてもいいオチですね。リアリティがある程度あるからこそ、幻想的になるのですね。勉強になりました。

お二方のご意見から私が共通して読み取れたのは、「もっと読者の事を考えるべき」ということでした。全体を通しても、必要な情報の描写が抜けている部分が多々あります。こういったようでは、折角物語の世界に上手く入れていたとしても、所々で読者を置き去りにしてしまう危険性も少なからずありますね。ストーリーに関係のないような描写にこそ気を使わなければならないのかな、と愚考しました。

お二方とも、本当にありがとうございました。

返信が遅れたことと返信の投稿にミスがあったこと、お詫びします。
   投稿日 : 2017/02/23 22:05
   投稿者  : 横佳 瑛太郎
涼格朱銀様

的確な御指摘の数々、ありがとうございます。

日常の中に突如現れた非日常的な空間を描きたかったので、あえて淡々とした描き方をしていたんですが、この場合は間違いだったようですね。以降の参考にさせていただきます。

会話が薄いという御指摘ですが、痛いところを疲れました。読んでわかりますように、実は人物同士の会話の描写が苦手なのです。この作品の場合は、少年に名言になるような、そうでなくとも男の心を動かすような台詞を言わせなくてはならないところなのでしょうが、そういう台詞を言わせようとすると、どうも安っぽくなってしまうんですよね。これは私の実力不足なので、どうにかしなければならないのですが――――

男が自殺しようとしているように見えないというのは、多分男に自殺をする気がないからです。私自身、書いている途中で「ああ、こいつは自殺しないな」と思いました。そこで男の言動などを直すべきなのでしょうが、それはそれで逆にいいんじゃないか?と、半ば投げ槍気味に思ってしまったのは私の不徳の致すところです。

二人の会話している状況にも、本来は気付かなければならなかったのでしょうが、自分の頭の中に展開された吹雪の中の公園のベンチというシチュエーションに酔ってしまっていたようです。幻想的という観点ばかりを追い求めてしまった結果ですね。

また、自分は中学時代、真冬の氷点下の早朝でもワイシャツ一枚だけで登校していた馬鹿だったので、凍傷とか寒さと言った点に逆に緩かったのだと思います。吹雪とは言っても、これぐらいの寒さだろうから何とかなるだろう、と自分の中だけで結論付けてしまっていたかもしれません。

自殺の動機は特には考えていませんでした。これは致命的ですね。設定の段階ではおそらく何らかの理由を考えていたのでしょうけれど、その設定が固まりきらないうちに書き始めてしまったのがおそらく原因です。

最後に、少年の正体についてですが、これはあえて描きませんでした。これは設定の段階で決まっていたことですね。でも、その正体は大体予想がつくだろうとは思っています。その事についても何かご意見をいただけたらと。

よくよく読み返してみれば、まだ人様に読ませるような出来にはなっていないような作品だったと感じます。今後は、もっとよく推敲してから投稿させていただきます。

不遜なようではありますが、これからもよろしくお願い致します。
   投稿日 : 2017/02/23 22:06
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