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   『ひょうすけ/ハッピーエンド』

         投稿者 : 82%


ひょうすけ
 兵助は、降り続く雪を気にすることなく、山を駆け回っていた。兵助は、大雪で食べ物を得ることができずにいた。兵助は、寒さでぐったり倒れたお母さんに渡すため、必死に何かを探していた。もうどのくらい来ただろうか。何度か木の実のような植物の跡を見つけたが、どれも他の狸に取られてしまっていた。まだ、子供の兵助も腹をすかせ、厳しい寒さの中、よちよちと歩いていく。大雪で仲間と離れ離れになってしまい、20匹ほどいた兵助たちの仲間も、今はもう誰もいない。
 それから、しばらく。兵助の背後からゴソゴソという音がする。兵助も気づき、後ろを向くと、同じ群れの雪子だった。兵助は驚きながらも、雪子に駆け寄った。兵助は、仲間がいたという、安心感から飛び跳ねていたが、雪子の隣まで来ると、すぐに近くの木を枝ごと噛み切って雪子の腹にすり寄せた。雪子は、銃で脇腹を撃たれていたのだ。しんしんと降り続く雪で銃声なんて兵助の耳には届かなかった。怪我をした雪子を見て、小枝で抑えて、撃たれた部分を舐めたくっていた。そして、雪子を背負うと再びえさを求めて歩き出す。兵助は高い鳴き声をあげて、歩き続ける。雪子は小さい声を出しながら、兵助に背負われる。
 それから、しばらく。小さな木の実がなっているではないか。兵助はそれに気がつくと、へし折り、雪子に食べさせた。兵助も少し食べると元気を取り戻し、お母さんの分をくわえてお母さんの待つ洞穴へと戻る。早く早くと、駆け回ると、一人の男に兵助は出会った。兵助は警戒し、二、三歩後ずさりをする。だがあ、男の手には銃がなかった。それどころか、その男は、雪子の怪我に気づくと肩掛けバッグから、包帯と消毒液を取り出して、雪子の治療を始めた。兵助は毛を立てて、威嚇するが、男は兵助にも気づき、違うバッグからたくさんの木の実を地面に置いた。全く警戒心がなくなった訳ではないが、あまりの空腹を堪えられずに勢いよく食べ始めた。すると、雪子も元気を取り戻し、歩けるまでに回復した。男はそれ以上のことをしなかったので、二人は男に鳴き声で感謝を示し、母のところへと戻っていった。
 それから、しばらく。兵助は群れの長となり、皆を統率していた。その隣には、雪子がいた。

ハッピーエンド
 どんよりとした空気。じめじめしている。平日の深夜、街はひっそりと静まり返り、辺りは私たちの足音しか聞こえない。23時を過ぎ、私たちは、新年会を終え、行きつけのBARへと向かう。今、私の隣には会社の後輩であり、私の好きな人、直子がいる。周りに電気がついている店は、この「HAPPY END」のみ。二人で、そっとドアを開ける。いらっしゃいと、マスターが声をかけてくる。私たちはそれに応え、カウンターの一番端に座る。私は生ビール、直子はレモンサワーを注文する。それに、私はいつもの、と声をかける。二、三年前からの行きつけのBARでマスターも私のことを知っている。さて、なんで今日はここに直子と共に来たのか。普通に飲むのであれば、一人で来店しマスターと語らう、でもいい。しかし、直子を連れてきたのは大きな理由があった。そう、まさしく告白するためである。まあ、それは最後まで取っておこう。私はマスターにおつまみを頼む。それから、直子と話し、少しして、たこキムチと漬物が来た。初めて見たが、なかなか美味しそうだ。これで250円は安い。これがつまみセットAだ。そして、つまみセットBも来た。ザーサイ、餃子が載っている。これが私の「いつもの」だ。ちなみに300円だ。お互いの仕事のことや家族の話、世間話もした。自分の友達がクリスマスの日、勤めていた病院で好きだった幼馴染と再会したというロマンチックな話は、盛り上がった。自分もあの話を聞いたときはドキドキしたものだ。まあ、あの話から告白しようと決めたのだが。今頃、楽しい正月を過ごしていることだろう。もう二時間は経っただろうか。2時を回り、お互い帰ろうとする雰囲気が出た頃。今だ。ちょんちょんと、腰をつつく。小学生みたいと、内心笑ってしまったが、もちろん顔には出さなかった。
「なあ、直子ちゃん、直子ちゃんが好きだ。付き合ってくれ。」
私はとうとう告白した。直子ちゃんは動揺し、赤面している。しばらくの沈黙。マスターの食器を洗うカチャカチャという音と水道から水が流れる音のみ。外も車音一つしない。そんな中、BARでは動きがあった。
「翔太さん。ごめんなさい。私、彼氏がいるんです。だから、ごめんなさい。」
さっきとは、まるで変わった態度に私は少し動揺したものの、苦笑し、
「いや、いいんだ。」
そう言い、五千円札を一枚置いてマスターと直子に挨拶し、「HAPPY END」を後にした。
 一人になると、膝に涙がこぼれた。どうして、ハッピーエンドにならないんだ。
私は、降りだした雨の中、傘もささずに深夜の町並みを歩いていった。


<作品のテーマ>

年末、年始にかけて書いていた掌編。
節分、バレンタインと投稿できていなかったので。
よく考えると、2017年。初投稿のようです(今さら)。
感想、アドバイス大歓迎です。
ひょうすけ……思い浮かべたのは昔話。ほんわかされるような話を、と思って考えたもの。
ハッピーエンド……えっと、すいません。バッドです。
         本文の前に、テーマを読む方がいましたら、すいません。
   投稿者  : 弥生 灯火
拙いながらもそれぞれの作品に感想を残します。

>ひょうすけ
ええと、今作は童話みたいに寓話的なものを注がれた作品だったのでしょうか?
正直なところ、特に山も谷もないお話だなあと思いました。私の読解力の低さもありますが、ほんわかと感じる部分も少なかったかなあと。

>ハッピーエンド
バーを舞台にした失恋話ですね。私も以前に『シュタインヘイガー』という類似した内容の作品を投稿したことがあるので、
興味深く拝見しました。
直子さん、彼氏がいるのに他の男性と二人でバーに行ったら駄目ですよねえ。主人公が付き合えると勘違いして告白しちゃったのも仕方ないかも。

ではでは、これからも執筆頑張って下さい。簡潔な感想失礼しました。
   投稿日 : 2017/02/26 14:56
   投稿者  : 82%
弥生さん
感想ありがとうございます。

>ひょうすけ
あ、なるほど。インパクトの足りなさを自覚しました。童話調で、変化の話を作るのは難しいですね。
至らぬ私の描写力と推敲の足りなさが原因ですね。

>ハッピーエンド
「シュタインへーガー」読ませていただきました。何というか、格の違いを思い知らされた気が…笑
本当は、この話は、クリスマスやバレンタインのために書き上げていたのですが、結末とタイミングから話を大幅に変更いたしました。
すると、今度は話が合わなくなってしまったのかもしれません。

ありがとうございました。これからも、よろしくお願いします。
   投稿日 : 2017/02/26 15:13
   投稿者  : きらら
『ひょうすけ』と『ハッピーエンド』をよませていただきました。
わたしは、『ひょうすけ』のほうが童話性があってとても素敵だと思いました。
この物語に登場するのは狐か野生動物でしょうか。それは読者のご想像におまかせでしょうか。狐のようなイメージができました(笑)
雰囲気がとてもきにいりました。
   投稿日 : 2017/03/10 10:38
   投稿者  : 82%
きららさん
感想ありがとうございます。童話調感じてもらえてよかったです。まだまだ不出来な作品ですが、
素敵とのお言葉を頂き、とても嬉しいです。主人公については、狐でも狸でもその他森の動物や
化け物でも構いません(笑)雰囲気作りに力を入れたので、ありがとうございます。
これからも、よろしくお願いします。
   投稿日 : 2017/03/11 15:01
   投稿者  : てこてこ
それぞれに感想を書かせて頂きました。

【ひょうすけ】
個人的にはひょうすけが何の動物なんだろうという疑問が意識的に優先されてしまって、内容がおざなりに読めてしまいました。
個人的にはキツネなイメージですが、はっきりと分かる方が想像しやすいので、そこは明記して欲しかったです。
内容的にはもう少しメリハリが欲しいという所ですね。お母さんの元へ戻る途中で雪子の容態が悪化→命の危機→狩人らしき人に出会う→狩人が銃を手に取り万事休すかと思いきや、銃を地面に置いた→雪子の手当てをしてくれた。の様にピンチな所はとことん追い詰めてみたりしてみると読み手をぐいっと引き込む展開に出来ると思います。

【ハッピーエンド】
主人公振られて残念でしたね。にしても告白のタイミングといいますか、雰囲気やらも何だか残念なので、彼氏いる以前に振られても仕方ない奴だなとか思ってしまいました(笑)

両作共、前回までと比べて大分読み易くなった印象を受けました。この調子で頑張って下さい^^
   投稿日 : 2017/03/14 21:45
   投稿者  : 82%
てこてこさん

読み易くなったとの、お言葉、ありがとうございます。とても励みになります。

>ひょうすけ
やはり、動物名(狐)は書くべきでしたね。あえて……とか、無駄な思考をしていました。笑
メリハリですか。話の流れを教えてくださり、私自身の話の理解が深まりました。
もう、てこてこさんに改稿をお願いしたいです。笑

>ハッピーエンド
そう思っていただければ、嬉しいです。この話は、それだけを目的に書きましたので。

前作までにも感想を書いてくださり、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
   投稿日 : 2017/03/15 22:55
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