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   『愛があったら』

         投稿者 : ぎんがみ。



理香子の話

あの子は昔、とても手のかかる子でした。
よく泣いて…
そうですね…優太が生まれてからはとてもいい子になりました。お姉ちゃんという意識が出たんですね。
反対に優太は小さい頃のほうが手がかからなかったの。
そうですね…優太が小学生に上がった時のことです。

あの子は小学3年生でした。
朝の登校も優太と一緒に行っていて、仲の良い姉弟でした。
でも、とある春の日。
「お母さん、おねえちゃんがいじめてくる。」
耳を疑いました。いきなり優太がこんなことを言うなんて。すると、甲高い声が聞こえました。
「ちがう!!」
今まで聞いたことのないようなあの子の声でした。優しいお姉ちゃんじゃなかったのか。優太が言っていることが本当なら…。
とりあえず話を聞いてみようとしました。
でも、それは出来ませんでした。
「いたい!!」
あの子は優太を叩いたのです。
「お母さん!おねえちゃんが!」
「ちょっと何するの!」
私はあの子を叱りつけました。か弱い弟をいじめるなんて、あってはならないと思ったのです。
「でも…優太が…」
「どんな理由があろうと、だめでしょう、反省しなさい。」
あの子は謝りませんでした。
何日かたち、まあ仕方ないと思い、許すことにしました。

あの時以来、あの子が悪いことをすることはありませんでした。
優しくていい子になりました。
でも、優太はだんだんと、いい子ではなくなってきたのです。
「クソババア」
優太が小学4年生のとき、そう言われました。
あの子は中学生になっていました。
「クソババアとは何ですか、謝りなさい。」
「うるせぇ、うぜぇ。」
反抗期というものでしょうか?
私の心は怒りよりもだんだん悲しみが強くなっていました。
私はあの子に相談しました。
あの子は大人びている子だったので、具体的なアドバイスをくれます。
私を元気づけてくれます。
いつも笑顔で明るいあの子は、私の太陽なのです。
私のたった一つの光なのです。
あの子を産んだことは私の誇りです。
優太も中学生になり、反抗も収まってきています。
私は今幸せです。
今度、皆で旅行でも行きたいです。
愛しています。


佳乃の話

私は母が嫌い。
ずっとずっと怯えて生きていた。
でも、もうこれで終わり。
ばいばい。
弟の優太のことがずっと気がかりだったけど、もうあのこも大人になってきた。
安心してこの世を去れるよ。
これが、私の母への復讐。


優太の話

姉ちゃんが死んだ。
駅で自殺らしい。
母親にもそろそろ伝わった頃だろう。
きっと、母のせいだ。
昔から、姉ちゃんは母に怯えていた。

姉ちゃんがいい子だったのは、あのおかしな教育のせいだ。
あれは、俺と姉ちゃんがガキの頃、喧嘩したときだ。姉ちゃんは俺を叩いた。
あれは俺が悪かった。
あれでも姉ちゃんは我慢したほうだと思う。
母にはちゃんと説明した。
「ぼくが悪いんだ。おねえちゃんを叱らないで。」
でも母は、姉ちゃんに酷いことをした。
親父は単身赴任中だったから、居なくて、
助けられなかった。
母は姉ちゃんを閉じ込めて、5日も食べ物を与えなかった。
たまに、様子を見に来て殴ったり、蹴ったり。
学校には風邪をひいたと言っておいて。
俺が学校の先生に真実を伝えても、母が、うまく誤魔化していた。
姉ちゃんは何度も謝っていたのに。
泣いていたのに。

親父は不倫してた。
母はそれを知っていて、親父に似てきた俺を過剰に可愛がるようになった。
逆に姉ちゃんには冷たく、理由もなく叩いたり、奴隷のように扱ったり…。
俺は何度も母を説得しようとした。

姉ちゃんも頑張っていた。
母を怒らせないように。
家事も率先してやったし、勉強も運動も頑張った。
学級委員にもなって、習い事などはさせてもらっていなかったから、独学でピアノを練習して、合唱コンクールの伴奏をやるなど、凄い努力していた。
母は、それでも不満だった。
ことあるごとに文句をつけて。

母の異常なところは、自覚がないところだ。
あたかも全て当たり前のように振舞っている。
自分の都合の良いときだけ姉ちゃんをよく使って。可愛い娘。なんて。
笑えねえよ。

小学生くらいのとき、俺は母に反抗をはじめた。
俺が悪い子になれば、姉ちゃんが救われると思った。母は姉ちゃんに相談をしていた。姉ちゃんは、俺が姉ちゃんを救うためだと気づいていたみたいで、いつも俺を庇うような発言ばかりだった。

母は俺にも危害を加えようとした。
でも
直前に手を止めて、涙を流して言った。
「あなた…」
やっぱり母は親父と俺を重ね合わせていたんだ。姉ちゃんは、
「もういいよ。ありがとね。」
と言い、悲しそうに笑った。
俺の前では強がっていたけど、相当辛かったのだと思う。
学校でも上手くいっていないみたいだった。

姉ちゃんは、死を選んだ。体も心もぼろぼろで、痣を隠すために夏でも長袖を着ていた姉ちゃん。いつもトイレで泣いていた姉ちゃん。俺に対しては笑っていた姉ちゃん。

これが幸せなら、俺は何も言えねえよ。
母は、姉ちゃんを親父の浮気相手と重ね合わせてたんだと思う。
ああ。
子どもが親を選んで生まれてきたなんて嘘さ。選べないからこそ。親は子を大切にすべきじゃないのか?
「この家に生まれてよかった。」
って言ってもらえれば、本当に親になれるんじゃないのか?

産んだから親。だなんて。
理不尽だと思うな。
親は子を愛して、愛して。
そうすれば、子も親を愛すから。

姉ちゃんの名前は佳乃と言う。
佳乃の佳は、すっきりと形がよい。広く、形や質がよい。という意味だ。
母は、姉ちゃんが、広く、質のよい素晴らしい人になってほしくてつけた。と言っていた。

じゃあ、何であんなことを。
俺は悔やんでいる。助けたかった。


理香子の話

最近、あの子を見ないの。
またどこかに遊びに行ったままなのかしら。
悪い子ね。
でも、そんなあの子も好きよ。


優太は相変わらず冷たいけど、きっといつか心を開いてくれるわ。

帰ってきたらいっぱい話しましょうね。
優太はもうあの子は帰ってこないって言うけど、私は待ってるからね。

あれ、あの子の名前なんだっけ。
まあ、関係ないわよね。
私は親なんだから。お母さんなんだから。
ちゃんと教育したんだから。いつか感謝する日が来るわよ。

皆立派になってね。
お母さんはずっとあなた達を愛してるから。


<作品のテーマ>

読んでいただきありがとうございます。
作品名の 愛があったら は、いったい誰の言葉なのでしょう?

小説を書くのは難しいですね。
いつもは読んでばっかりなので…
短いかもしれませんが。

言葉の間違い、などあれば教えてください。
私はまだ学生で、上手く表現できる言葉が見つからなく、自分でも納得がいかないんですけれど、あたたかく成長を見守ってほしいと思います 笑

アドバイスなどお待ちしております。
   投稿者  : てこてこ
とても読み易く、家族一人一人の心情も分かり易くて面白かったです。
気になる所が少しあったので、書かせて頂きますね。
まず、文章の区切り方ですが、小説として書くのでしたら一文毎に改行せずにひとまとめにする方が良いです。
このままの状態では、読み易さだけで言うとても読み易いのですが、形式が小説というより詩になってしまっています。直したては読みにくい様に思えるかもしれませんが、すぐに慣れると思いますよ。
次に「反抗」の使い方ですが、「反抗も収まってきています」は「反抗期も収まってきています」、「反抗をはじめた」は「反抗しはじめた」の方がしっくりくる気がします。何だか違和感を感じたので;
あと、反抗期の時期は人によるんですけども、中学生からひどくなるイメージが個人的にあります。それに最後らへんで「優太は相変わらず冷たいけど」と書かれているのと、優太の心理状況を見るからには、母からすればまだまだ反抗期は続いていると思っている方が自然かなと思いました。

短いかも、と仰っていますが、短くなる理由としてはやはり情景描写が全く無く、ほぼ心理描写のみで文章を書かれているからでしょう。読者をどっぷりとその世界に浸らす為には、しっかり丁寧と人物たちの動きやその状況、視覚情報と言った方が良いんですかね? それを取り入れていけば自然と文章量も多くなると思います。
まぁわざと心理描写のみで書いたりとかもありますが、そこは色んな方の作品を読みましょう(笑)

小説を書くのに年齢は関係ありませんし、むしろ学生でしたらまだまだ学べる時間がたくさんあります。向上心さえ忘れなければどんどん伸びると思うので、頑張って下さいね。

偉そうに言ってますが私自身、物凄く未熟なので(苦笑)、お互い頑張りましょう^^ 長々と失礼しました。
   投稿日 : 2017/03/14 21:52
   投稿者  : ぎんがみ。
感想ありがとうございます(*^^)v
そうですね、私は普段から改行する癖があるので直していきます!
反抗の使い方について。も、確かにそうだと思いました。書いている側だと、自分で納得してしまうのですが、きちんと気をつけます!
動作について。この話は、3人の人物が、出来事を語っているように見せたかったので、動作を入れるのに困ってしまって…。次回からはしっかり書こうと思います!
貴重なご意見ありがとうございました。
お互い頑張りましょう!
   投稿日 : 2017/03/15 06:44
   投稿者  : れいんぼーしーぷ
はじめまして。
母親の狂気について、弟さんがやけに頭が良すぎるというか、冷静すぎるというか。
本当の機能不全家族なら、「洗脳」されてもおかしくないくらい周りの人間まで、
加害者と同じような感情になっていくような気がします。

そしてこんな冷静で優しい心を持っているなら、母親が良い教育もしているという証明にもなってしまうかも。

何も自覚のないまま娘を殺した(厳密に言うとそうじゃないけど)母親、
母親の感覚になじんでいってしまう弟、
何も知らない周囲、

ナレーションが冷たく真実を語る。
みたいな。


母親の悪気のない狂気の書き方は素晴らしい!と思いました。
本当にそう思っている人の中に入り込んでいる?なんて。
いいですねー。身震いがしました・・・
こんな文章書けるようになりたいなぁ
   投稿日 : 2017/03/24 12:32
   投稿者  : れいんぼーしーぷ
>こんな文章書けるようになりたいなぁ

こんな心理描写を書けるようになりたいなぁ

でした。

連投失礼致しました。

それと、上の方が書いていらっしゃる「情景描写」についてですが
丁度今救急車が通ったら、それをそのままパクるとか
外で自転車が倒れたらそれをそのまま・・・とか。
その時のものを書くと楽しかったりします。
参考になれば。

 
   投稿日 : 2017/03/24 12:43
   投稿者  : ぎんがみ。
感想ありがとうございます。
どこか不自然な家族が書きたかったので。
弟は、まともなようで、怪しげな雰囲気を出したかったのですが..。
そうですね.. そうなってしまいますか....。

本当におかしい人って、悪気がないですよね(笑)気づいてないというか。
そんな風に言っていただいてとても嬉しいです!
もっと上手い文を書けるよう頑張ります。

情景描写についても、参考になります!ありがとうございます
   投稿日 : 2017/03/26 22:04
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